たけのこブログ

凡人が頑張って背伸びするブログ

現役博士課程の大学院生が伝えたい!(院試などで必要な)研究計画書の作成ノウハウ

なぜ発信しようと思ったのか

本音を言うと、歯医者に行っていたせいで実装した機能を発信する時間がなかったからです(この記事を書き終えた時、分量が多かったので実装した機能を書いても同じくらいのコスパだったかもと少し後悔しました笑)

私本人としては発信する気はなかったのですが、周りで結構苦戦している人が(志願した受験生や後輩含めて)多いんだなと感じたことがあったので、院試などを考えている人へ研究計画書の書き方を僕なりにアドバイスができたらと思って書きました。なるべく、当時の私が欲しかった情報などを取り入れるように意識して書いてみました。

また、専攻を変える方もそうでない方にも対象になるように書いたので、何かしらのヒントになれば幸いです。

大学院入試はジョブマッチングに近い(個人的感覚)

私自身、大学院の入試は一種のジョブマッチングと考えています。実際、ほぼ100%近くの大学院入試は面接があります。これって、今までの高校受験や大学受験では見慣れない光景じゃないかなと思います。なぜジョブマッチングと述べたかと言うと、この面接で相手が自分の分野や意見とマッチングしているかの最終審査をするからです。もちろん、専門科目やTOEICなどの得点も考慮されます。ただ、ここで自分が提案した計画書が志望する研究室でできないようなら、マッチングしないので不合格になる可能性だって十分にあります。したがって、重要なのは、

  • 志望する研究室が何を研究している場所なのかを把握する
  • 面談で対応するのは大抵志望研究室の教授とかなので、その人の癖とかどんな質問をしてくるのかを把握・予測する

ことが重要だと思います。普通の就活と違って唯一利点があるとするならば、オープンキャンパスなどで直接行って訪問することによって、面接相手と直接話し合いができることです(その人のフットワーク次第ですが...汗)。これを最大限生かすことで、相手がどんな人材を欲しているか、どんな人を受け入れたいと考えているか把握しやすくなると思います。ですので、オープンキャンパスに行くか、直接メールを送ったりして、絶対に面接相手(志望研究室のボス)の顔を拝みに行きましょう。そして、運がよければ助けてくれる有り難い先輩をゲットしましょう笑

想定している研究計画書の文量

まず、想定される用紙の枚数について説明したいと思います。

博士前期課程(修士課程)での研究計画書は、大学によっては志望理由書になることもありますが、A4用紙1~3枚程度だと思います。博士後期課程の場合は大学によって異なると思いますが、私が受けたときは確かA4用紙4~5枚くらいだったと思うので、博士前期課程の枚数の倍くらいはあるのではないかと思います。

どちらも研究計画の立て方は同じですが、博士後期課程の場合はそれに今までの成果を書く形になると思います。今回は、新しい研究計画を提案することを本筋にしたいと思うので、博士前期課程の院試で書く研究計画書を想定して話を進めていきたいと思います。

こんな研究計画書は嫌だ

実際に研究計画書の書き方を言う前に、僕の経験と友人の経験などを参考にしてまとめたあまりオススメしない研究計画書の代表例を箇条書きで書いてみたいと思います。

  • 専門用語が多すぎて何を言っているのか分からない

これ、専攻変えないで大学を変える方に非常に多いです(私自身も二件以上経験があります)。専門を変えない方が有利と考えて油断することはせず、専門用語だらけにして助けてくれる先輩や先生を困らせないようにしましょう笑 特に、ほとんどの先生は忙しい時間の中で面接を行うので、主査は流石に計画書を読んでいると思いますが、かなりの確率で一部の面接官は計画書をその場で読むはずです。ですので、その場でも分かりやすく読めるような内容にしてあげるのが好ましいと思います。

  • 参考文献で英語論文がない

これは、僕の添削をしていた友人がこぼしていた愚痴です。とにかく、日本国内の論文しか参考にしていなかったみたいで、指示しても直さなくて困っていたみたいです。研究計画書は、受験者の研究者としての能力を見るためのものです。もし英語の論文を一つも参考にしていなければ、この人は英語の論文を読める語学力やタフさがないと思われる可能性があります(TOEICが860を超えてたら別かもですが...)。大学院に入れば、間違いなく英語の論文を沢山読むことになります(僕も正確に数えていないですが、少なくとも年間100以上は読んでると思います)。なので、必ず(Impact Factorがそこそこある or 被引用件数がそこそこある)英語論文を一つは参考文献に加えましょう!

  • 誤字脱字が目立つ

これ、面接する側も好意で添削してくれる先輩も一番嫌がる例です。忙しくて焦っているのは分かるのですが、こればかりは勘弁してください(経験談)汗 僕らも忙しい中添削したりアドバイスするし、先生たちは忙しい時間を割いて面接に望むので、ぜっっっっっっっっっったいに誤字脱字はないようにすることをオススメします。

  • 今まで頑張ったことや志望する理由を熱く語るだけになっている

志望理由書なら話は別ですが、研究計画書に感想はいらないです(個人的に)。これでも受かる方はいるので強制はしないですが、少なくとも自分が所属していた研究室はタブーでした笑 研究室によると思いますが、個人的には研究内容だけで素直に勝負するのが良いかなと思います。良い研究計画で熱意は十分伝わると思うので。

研究計画書の手順

人によって流儀は異なると思いますが、大体は (概要)→研究背景→研究目的→提案手法→期待される結果→まとめ になると思います。以下、一つずつ項目を説明しますが、なるべく論文に見られるような二段構成で書くことをオススメします。また、Texが使える方は存分にTexで書くのが良いと思います。Texを学んでいる余裕がない方はwordでも全然大丈夫だと思います(僕は当時はwordで二段構成で書きました)。

  • 概要

これに関しては、あってもなくてもどちらでも良いというのが個人的な意見です。面接のときにプレゼンなどがあれば必要ないと思いますが、そうではない場合は(その場で計画書を読んでいるかもしれない面接官のために)載せてあげても良いのかもしれません笑

  • 研究背景

研究背景で重要なのは、問題点に辿りつくように広い範囲から縮めていくイメージで書くことです。いきなり本題に入らないように広い概念から絞っていくように記述することによって、ストーリーっぽい構成になっていくと思います。計画書の書き方の英語教材ではこれをFunnel(漏斗)構造と言いますが、それをイメージするのが良いと思います。できれば、有名な研究事例をベースとして組み立てていくことで、巨人の肩に乗ることができればなお良いと思います(これは、やりたい研究によっては実現が難しいのでオプションレベルで良いと思います)。

ここで注意としては、誰もやっていないから研究すべきという意見は、必ずしも問題点になるとは限らないということです。確かに新規性は大切ですが、例えばあえて触れないようにしている可能性もありますし、触れるほどの価値がないから事例がないだけかもしれません。この感覚は知識がないと判断がつきにくいところかもしれませんが、意識して書くのは大切なことだと思うので頑張ってください笑

  • 研究目的

これは、先ほどの研究背景で浮上してきた問題点を踏まえた上で、どのようなクエスチョンを提案するのかが重要になってきます。ここでいうクエスチョンは、問題=クエスチョンではありません。例えば、相手がピカチュウを好きかどうか分からないというのは「問題」ですが、相手がピカチュウのことを好きかどうかを相手の行動から判断するのは「クエスチョン」に当たります。そして、その解決方策として、ピカチュウを見せている時の相手の視線や心拍数などから、他のものを見せた時の場合と比較してデータ解析することで解明するなどが挙げられるのかなと思います。

また、一体何を解決しようとするのかをここに書くので、あまり長文にせず簡潔に述べるようにするのが良いと思います。

  • 提案手法

これに関しては、研究内容次第なので色々あると思いますが、どんな方法でやるのか、なぜその方法が良いのかを書くことが重要だと思います。分野によっては書き方があると思うので、参考文献のMethod部分を元に作成するのが良いと思います。

  • 期待される結果

これは推測なので人によって意見が違ってくると思いますが、その手法を使うことによって何が解明されるのかを書くことが一番重要だと思います。また、その手法がダメだった場合どのようにするのかも考えられたら、計画書に書かずとも面接の際の保険にもなるかなと思います(面接では、研究計画をダメ出しされることが多いので...処方箋にするのが良いかなと笑)

  • まとめ

これは、今までの過程をそのまま簡潔に述べる形で良いと思います。また、もしも志望理由などを書きたい人は、ここに簡潔に書くのが良いのではないかと思います。

(補足)実際研究室で似たようなことはやってはいたけど...からの地獄

せっかく合格して入学して希望の研究室に所属したは良いものの、やりたい研究の予算がなかった...アドバイスをくれる先輩も先生もいなかった...。これってないようである話です(たくさん見てきました)。先生側が「そのプロジェクトはもう終わってるから」とはっきり言ってくれるとありがたいのですが、そう言ってくれる方は案外いません(僕の経験上、ある准教授一人だけでした)。研究室によってはとにかく優秀な人手が欲しいので、似たようなことはやっていると発言する場合が多いです。しかし、実際入ってみたのにやりたいことができないというのは、双方にとっても辛いことだと思います。実際、自分はやりたい研究ができると思ったら違う分野の研究をすることになり、挙げ句の果てに予算の関係で一年間頑張って文献を調べ尽くして予備実験までやったものが水の泡になったことがあります(あんまりこういう話をすると怖がりそうなのでこのくらいにします。今はなんだかんだで提案した研究ができているので大丈夫です笑)。なので、余裕があればやって欲しいこととしては、相手が持っている科研費などの予算、要は所持金とその出所を確認してください。なんか熱意を持って受験に臨む方々からすれば夢のない話だと思いますが、これを行うことによって万が一のマッチングミスを回避できます。いまの時代では、希望研究室のホームページや科研費のホームページなどで幾らでも確認できるので、一見の価値はあると思います。また、予算先を確認することによって、その先生と共同研究している他大学院の先生も確認することができ、実はその先生の方が自分がやりたいこととマッチしていたということもあると思いますので、相手の持っている人脈を確認する上でも重要な情報になると思います(相手の先生がその人脈を紹介してくれるかはケースバイケースですが...汗)

これまでのまとめ

研究計画書を書くことは、論文のResult以外をすべて書くようなものです。研究は全てがストーリーとして筋が通っていることが重要だと思います。どんな方法で、どんなクエスチョンにアプローチできるのか、それはどんな問題点から考えれらることなのか...。全部片付けるのは大変だと思いますが、一つ一つ解決していくことによって、皆さんだけのオリジナルの計画書ができることを願ってます。

良かったらいいねお願いします!